【東京五輪】ボランティアに参加したい。参加するべきか?【ボランティア】【一学生が思うこと】
注意書き
・組織委と東京都という二つの組織のうち、どちらの活動なのかわからない場合には、「運営」と書きます。
・本文章に書かれていること全てが事実であるという保証はしません。スポーツドクターの依頼やCM制作費などの問題は情報不足のため現時点では疑惑程度に留めてください。
・主観的な見方に基づく内容が多いです。コメントで間違いの指摘や意見を書いてくださると助かりますし、考えを深めることができそうです
はじめに
タイトルだけを見て、「じゃあ参加すれば?」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、全くその通りだと思います。私は大学1年生となり、参加するチャンスを得ました。参加したいと思ってるならなにも気にせず参加することがいいと思います。しかしなにも気にせず募集に応募することができそうにないのです。いくつもの心配事がどうしても心の中に浮かんできてしまうのです。
浮かぶ疑問や心配事
説明会に参加してみた
八月某日、某大学にて運営によるオリンピックボランティア説明会というものが行われました。会場では東京オリンピックロゴとパラリンピックロゴがそれぞれ両面に印刷されたファイルに、ボランティア募集のリーフレット、広瀬すずさんの写真が載ったチラシ、そしてオリンピック・パラリンピックピンバッジの4点が配布されました。説明会は多数の大学で行われ、私が参加したのはその中の一つです。
説明会ではまずボランティアについての説明があった後、それぞれの役割についての詳しい説明があり、最後に質問タイムが設けられました。
浮かぶ疑問①
詳しく説明していただいたおかげで、ボランティアの内容については知ることができました。しかし、説明を聞いているうちに、これ、ボランティアですべき内容なのかな?という疑問が湧きます。その内容が"移動サポート"という役割です。選手や関係者を車で送迎します(車は五輪ロゴがプリントされた特別仕様のもののようです)。まず応募するためには第一種普通自動車運転免許が必要となります。その上他の役割と違い、活動中には事故を起こしたり、乗せる関係者へ被害を与えてしまう可能性があります。責任問題ひいては国際問題になりかねない役割だと思います。ボランティアが問題、事故を起こした際に関する対応は説明していただけませんでした。
私は、この役割をタクシー会社等に協力を仰ぐべきものだと思いました。第一種ではなく、事故時の対応も教習内容に入っている第二種免許を所持する人こそこの役割に適しているはずです(たとえ事前に講習があるとしても)。
また、移動サポート以外の役割にも問題があります。それはスポーツドクターです。ボランティアを募集しているものではありませんが、こちらも無償であると、産婦人科医師の高尾美穂さんがtwitterで発言しています。
東京オリンピック2020の仕事依頼が来た
— 産婦人科医×yoga 高尾美穂 (@mippolin78) August 29, 2018
もちろんスポーツドクターとしての仕事ですが、軽くお話し聞いてみたところ案の定 無償
本気でこれでいいのか?
これでは日本スポーツ界は変わっていかない
好きな人が好きなことやってるんだからいいでしょ?じゃない、資格持って責任持ってする仕事なんだよ
しかし医師として発言しているのは高尾さんだけであるため、他の関係者からの続報が待たれます。やはり責任を持たなければいけないから当然資格も必要となる。twitterでも画像として見かけますが、
「金を払う」とは仕事に責任を負わせること、「金を貰う」とは仕事に責任を負うことだ。金の介在しない仕事は絶対に無責任なものになる。
(久部緑郎,ラーメン才遊記より引用)
このワンシーン。お金をもらって責任を持って働いていただいているのに、お金が介在しないボランティアにおいて誰が責任を負うのか、不透明なところではあります。
浮かぶ疑問②
続いて、東京都がボランティア募集のため女優の広瀬すずさんを起用しCMやチラシ製作を行いました。そのための費用は4000万だというのです。
約11万人のボランティアを集めるため、東京都は約4000万円をかけ、人気女優の広瀬すずを起用した募集動画を制作。来月下旬からテレビCMとして放送する予定だ。
ただし、CMの製作費用に関するニュースはゲンダイのみでしか報道されていないため真偽を確かめるには他メディアの報道が待たれます。事実かどうか定かでないにしても、TVニュースやSNS上で五輪ボランティアについて注目されており、存在を知らない人はいないのでしょうから、CMを作ること自体(また4000万以上をかけること)が必要であるとは思えません。また、組織委が出している"平成30年度の"正味財産増減予算書(一年間の予算書)では広告宣伝費として11億が割かれる見込みだそうです。
https://tokyo2020.org/jp/organising-committee/finances/data/2018-budget.pdf
正味財産増減予算書-東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会HP
(画像はブログのシステム上?背景がすけてみにくくなっておりますのでリンクから飛んで閲覧していただくことをお勧めいたします。)
ボランティアにお金を回せと言っているわけではありませんが、お金をかけるところに問題はないのか?という気にはなります。
浮かぶ疑問③
そして3つ目。先ほどの予算書は「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」という財団、つまり俗にいう”組織委”がHPにて掲載しているものです。これに対して先ほどのCMを製作したのは「東京都」だというのです(CMを公開しているのが東京都であり、ゲンダイもそう報じている)。この点から湧き上がるのが「組織委と東京都ってどういう関係なの?」という疑問。そう、全ての予算や活動は組織委や東京都のなどのどれか一方でまとめられていないのです。そうなると、都が出している約8000億円という予算と、組織委が出している1兆3500億円(V2予算案より)という予算がどういう関係にあるのか、そしてどう扱われているのか(先ほどのCMはどっちの組織から出てるの?)ということが把握しにくくわかりにくい状況になってしまいます(予算2兆超え!なんて記事を目にしますからさらにどういう関係にあるのかわからなくなります)。
浮かぶ疑問④
そもそもボランティアって、「自発的にやりたい!」っていう思いでやるものじゃないの?
これはなんというか、 当然のことで説明しづらいのですが、まずボランティア募集に当たって、
オリエンテーション、研修及び活動期間中における滞在先までの交通費及び宿泊は、自己負担・自己手配となります。
こう書かれており、自発的に費用が自己負担ですよということが明確に表記されています。だから参加したいという気持ちのある私はそれを了承して応募しなければいけないわけです。これに関しては当然のことだし、仕方のないことであると思います。
"ボランティアだから"、ではなく、"やりたいと思っているから"です。
言いたいのは、費用を自分で負担しなければならないのはボランティアがそういう性質だからではない、つまり、無償で行うのがボランティアではないはずだということです。(だって有償ボランティアって言葉があるもんね。)
先ほどのスポーツドクターの話を引用すれば、スポーツドクターがやらせてくれと言ってるわけではなく、組織委側がやってくれと依頼しているわけです。しかもそこに”無償で”というのですから。やはり、やる側が「無償でもいいからやらせて!」というのと、やらせる側が「やらせてあげるから無償でね!」というのは、私の表現がおかしいのかもしれませんが、前者は意欲のある自発的な発言、後者は何か上から目線な発言を感じます。ボランティア≠無償のはずなのに、ボランティア=無償のイメージで依頼や募集をしている運営にボランティアってそういうものなの?という疑問を感じます。
浮かぶ心配事①
続いて浮かんでくる心配事について。ボランティアに応募することで、変なイメージを持たれてしまわないかということについて。自発的にやりたい、と思っているが世間は「タダ働きだ」「やりがい搾取だ」「こんなブラック企業みたいな活動に参加する奴なんているか」といった批判的な意見が目立ちます。これは行き過ぎだと思いましたが、「ボランティア 就職」で検索すれば、「就職するときにタダ働きしてくれる奴だと思われそう」「ボランティア経験を見るのはブラック企業だろうな」といった意見が目につきます。私はそうあって欲しくありません。就職時にボランティアをすることが自発的に参加したやる気のある人間という証明くらいにはなって欲しいと思いますが、「参加すれば就職確定」「こいつはちょっと環境が悪くても働いてくれるだろう」などのように有利にも不利にも働いて欲しくはないと思っています。何度も言いますが、自発的に参加するものがボランティアなのですから。
浮かぶ心配事②
ボランティアはやらせるものみたいなイメージになってませんか?
文科省やスポーツ庁が大学等の機関に2020年のスケジュールを検討することや、ボランティア参加で単位を付与することができるなどという通知を出しました。確かにボランティアに参加したい一学生としては、ボランティアに参加しやすくなり嬉しいことだと思っています。しかし「学徒動員」「単位を餌にして学生を釣ってる」などといった意見を目にしたり耳にしたりすると、個人的には違うかなと。別に単位にすることはないでしょ、ボランティアで参加できない期間を前倒ししたり再試を受けさせてくれって教授に頼むときに了承しやすくなるのはありがたいけどさ。これじゃ「参加する学生は単位目当て」「学生の本分は勉学に励むことでしょうに」という意見が出ても仕方ないでしょ。
まとめ
まだまだ疑問や不安、心配事は心の中にあるんでしょうけど文章にできたのはここまでです。結論として私が言いたいのは、
私は参加したいと自発的に思うから応募したいんだ!参加することで就職や人生に不利になりたくないし、変なイメージも持たれたくない!
ということだと思います(他人事っぽいのは自分でもこれが最良のまとめかどうかわからないからです)。
最後に、今後、東京五輪成功に向け、運営の合理的かつ現実的な判断と行動を求めるとともに、ボランティアに対するイメージと、参加することに対する見方が悪くならないように祈ります。
2018/09/01 望月れい